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診療の実際

統合医療

近年、日本における医学教育においても漢方教育が定着してきました。西洋医学の優位な点と東洋医学(漢方・鍼灸など)の優れた点をどちらも取り入れて、小宇宙ともいうべき人体に生じる病気の本態をトータルに(全人的)解明・把握しつつ治療をめざす、それが統合医療です。
当院においても、統合医療の観点を実際の診療に実現できるよう日々努力しています。

私たちは、健康で日々充実感に満ちている時には、医療の必要性を感じませんが、次のようなときはいかがでしょうか?

統合医療
(1)体のどこかに痛みがある
(2)だるい(疲れやすい)
(3)発熱
(4)食欲がない
(5)消化器が不調(嘔吐・下痢・便秘)
(6)咳・息切れがある
(7)思うように手足が動かせない
(8)目・耳・皮膚の機能低下・変調(痒みなど)

これらの症状・病態は、古来人間が悩まされつづけ、現代もまた克服すべき多くの内容を包含しています。

上記の8項目どれをとってみても、単に一つの臓器に問題が存在するというよりは、全身的に原因や影響・関連を解明しつつ治療をする必要があります。

たとえば、「痛み」のうち、神経損傷(骨折・外傷・帯状疱疹感染・脳卒中など)の慢性期に発生することのある疼痛は、しばしば、治療に難渋しますが、最近、「求心路遮断痛」(神経障害性疼痛とも呼ばれる)として、病因の解明と治療が発展してきました。1例をあげれば、切断された神経終末における疼痛刺激受容体(ヒスタミン、セロトニン、アドレナリン、TNF,ATPなどの受容体の活性化、ナトリウム・カルシウム・カリウムイオンチャネルの活性化)
神経ニューロンの新たなシナプス形成やシナプス以外の連結形成(連絡の錯誤が生じる)の解明があります。

「痛み」の診断と治療

当院の患者さんの約3割の方は、何らかの「痛み」を、愁訴の1つとしております。
痛みの内容は従来、大きく2つ。

(1)内蔵に由来するもの・内科的疾患に伴うもの
具体例としては、くも膜下出血や片頭痛・群発頭痛での頭痛。関節リウマチや痛風(高尿酸血症)による関節炎。インフルエンザなどの感染症に伴う「反応性関節炎」。胆石症、尿管結石による痛み発作。胃潰瘍、急性膵臓炎、腸閉塞など消化器関連の痛みなどが挙げられます。治療は、年々進歩して来ました。即効性・根治性を追及し、より副作用の少ない薬剤が開発・上市されています。

(2)外科・整形外科的な範疇のもの
いわゆる「体性痛」と呼ばれる、整形外科的な疼痛です。
痛みはしばしば、運動機能障害を伴い、高齢社会の骨関節性疾患、労働現場での職業関連性疾患や、青少年等のスポーツ障害などにも影響が及びます。


1981年、アメリカ大統領J.F.ケネディーの(腰椎椎間板ヘルニア後遺症の)主治医Janet Travell(と共同研究者のDavid Simon)は、今日の「トリガー・ポイント治療」の基礎となる「筋肉へのダメージにつづく、筋肉細胞膜のカルシウム濃度の増加・筋原繊維(アクチン・ミオシン)の活動亢進・ATP(アデノシン・三燐酸)の欠乏という一連の『エネルギー破綻仮説』(Energy crisis hypothesis)を発表しました。

今日、MR画像で、筋肉表面の痛みのポイント(トリガー・ポイント;TP)が証明され、また、電気生理学的・組織生化学にそのTPの解析が進行中です。これによれば、TPは正常筋肉より硬く映像化され、TP局所において、サブスタンスP、ノルエピネフリン、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)、水素イオン、ブラジキニン、TNF-α、 IL-1β(インターロイキン)、セロトニン(5-HT)、IL-6およびIL-8の濃度が有意に高いことが証明されました。

激しい筋肉運動・準備運動なしの無理な筋肉使用はもちろん、軽微な反復的運動(連続20分間のピアノ演奏、連続30分のコンピュータ操作など)でもトリガー・ポイントが発生します。

先の、ケネディー大統領は、腰椎椎間板ヘルニアで2回手術をうけたものの、症状が一向に改善しなかったとき、トラベル医師の「トリガー・ポイント治療」を受け劇的に腰痛が改善したと伝えられています。
「痛みの原因は脊椎や椎間板の異常にあるのではなく、腰背部の筋肉の慢性Spasm(痙れん)」が(ケネディーの)痛みの原因と診断したのです。

トラベル医師は、この、筋肉のSpasmを緩和するために、当時、「塩酸プロカイン」という、今日では入手困難な薬剤による、局所への注射を推奨していました。今日では、0.25%リドカインやメピバカインなどが使用されており、ステロイドも併用されることがあります。鍼治療(Acupuncture)のように、薬剤を使用しないDry needling治療も急性・慢性腰痛症などで有効とされ、また、唯一、アメリカ・メリーランド州では、理学療法士(医師だけではなく)が法律的にTP注射を行うことを許可されています。

医師による診断では、他疾患の除外・栄養障害の除外診断を前提に、「Flat palpation」手技と「Pincer palpation]手技によって、探し出された、「索状硬結(Taut band)に沿う、強烈な圧痛点」がトリガー・ポイント(TP)です。

近年、TPの研究成果により、片頭痛、緊張性頭痛、顎関節症、成長痛、変形性関節症、腰痛症、椎弓切除手術、頚部痛、椎間板病変、手根管症候群、神経根症状、鞭打ち症状、線維筋痛症、ヘルペス感染後神経痛、神経障害性疼痛などはもちろん、内蔵障害(子宮内膜症、間質性膀胱炎、過敏性腸症候群、尿路・腎臓・胆嚢結石症状、月経困難症など)にもトリガー・ポイントが介在・関連すると指摘する報告もあります。

結局、この節のはじめに、痛みを2つに大別したわけですが、「トリガー・ポイント」という観点で「痛み」を捉えると、ほとんどの慢性疼痛や運動障害の責任がトリガー・ポイントであると報告されているにもかかわらず、第一戦の医療現場では、しばしば、見過ごされていることが、「問題」なのです。

トリガー・ポイントは幼児以外のあらゆる年齢で報告されています。

アンチ・エイジング(抗加齢医学・医療)

アンチ・エイジングは、高齢者が「若返り」を目指す、という考え方を 一方の極としておりますが、比較的若い年齢(壮年期)においても、運動機能・諸臓器の「年齢」をデータベース(多人数対象で集積の統計解析)と比較することにより、現状把握し、標準偏差を大幅に上回る機能低下(年齢進行度)を、早期に改善する、という予防的考え方を、もう一方の極としております。 当院では、こうした考え方をもとに、クライエント(利用者)のニーズに合わせ、以下のような対策(実践)を支援しております。

(1)

抗加齢ホルモン年齢対策
DHEA-S(主に副腎で生産されるホルモン)の測定および、標準偏差を下回る方への補充療法

(2)

血管年齢(動脈脈波速度測定・および超音波・頚動脈IMT計測)評価」と、サプリエント療法

(3)

皮膚の「たるみ」に対するスレッド・リフティングすなわち、『ミラクル・リフティング』という、埋没合成糸による、顔面皮膚緊張回復手術療法(韓国ソウル市・アックジョンドンのミラクルクリニック、Dr.Wooより、マスター認定授与されております)

※アンチエイジングについて、詳しい情報はアンチエイジングのページをご覧ください。

日本の医療の現状について

OECD統計によれば、日本は、先進国のなかでは、医療費がもっとも廉価でありながら、疾病対策・国民の医療対策がトップクラスにあります。身近に高度な医療を「健康保険」によって受けることが容易であり、自己負担も比較的安価に設定されております。

今後、ますます、人口構成の少子化・高齢化がすすみ、産業の停滞も危惧されるなかで、保険医療給付の「選択と集中」が必要です。基本は「必要な人に適切な医療」を保険給付する、ことです。

しかし、「保険給付対象医療」以外の「自己選択的医療」は、保険医療制度の財政的破綻を防ぐためにも、今後一層の拡充が必要です。現在「室料差額ベッド」「美容・審美医療」「歯科インプラント」などでみとめられております。

また、病院医療における、「医療崩壊」として、診療科目・病床の閉鎖、医師不足・医師集団退職などが問題視されております。原因は、所轄官庁の施策による「有床診療所」のスクラップ誘導、若手医師の研修制度不備と専門医志向、医療訴訟の頻発と解決手法の拙劣に原因があります。すなわち、救急医療における、全科的初期対応能力の低下、非重症症例の「診療所入院」の激減=中核病院への入院集中と病院医師の疲弊(結果として、研修機会の減少・指導医不足、医療事故の危険性・事故発生頻度の増加)、開業医師と病院医師との連携低下による患者振り分けのミスマッチ(病診連携とは正反対の対立すら起こっています)、医師間対立をも含む医療裁判の激化が厳然とした事実であります。

対策としては、低コストでエビデンスを有する治療(漢方薬・鍼・灸)の医療現場における地位向上、外国人医療労働者の導入、国内医師養成機関の拡充、「医師補助エキスパート」の身分法制確立、初期研修における全科的研修の年限延長(概ね6年間)と義務化、「有床診療所」の再活性化(ルネサンス)と、後期研修(初期研修の最後の2年間)における、有床診療所勤務研修の法制化を推進する診療報酬体系の改革が急務です。

『勝利に向かって限りない前進を。祖国か死か。限りない革命的情熱をこめて。』

(チェ・ゲバラ:医師にして革命家:キューバ銀行総裁)